アガイ研ブログ

Agai(堕武者+ultraviolence+)の個人ブログです。主に将棋、音楽、プロレス、レトロゲームについて書きます。将棋界では練習対局のために集まることを「〇〇研」と称することが多いことから、タイトルに名付けました。

甲府遠征反省会その1

チームとしては上々、個人としては散々

YBS杯将棋大会から帰って参りました。

結果はTwitterでもお伝えしたとおり、チームはA級で2-3の4位(残留)、個人では××××〇の1-4でした。

昨年より格段に準備をして臨んだにもかかわらず戦績が悪化するという、受け入れるのが難しい結果となりましたが、だから将棋なんてもう勉強しても無駄だ、としてしまっては得るものがないので、しっかり振り返っていきたいと思います。チームの皆さんにはひたすら申し訳ないですが…来年こそは。

敗戦譜解説その1

というわけで、まずは解説を1つ。指した順番としては2戦目です。

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振り飛車穴熊(私)vs銀冠穴熊

一般的には四間飛車穴熊の時に発生しやすい戦形だが、本局は中飛車穴熊の出だしなので、△64歩ー63金型ではなく△54歩ー53金型。また、居飛車側は5筋の歩を突かず、銀を▲48~59~68と移動し、角頭は▲26飛で受ける構え。定跡とはどちらも微妙に形が違うことがどう作用するか。

△65銀以下の指し手

▲36飛△64金▲34飛△76銀▲同銀△同飛▲87銀△26飛

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▲36飛と寄れば、△26飛までは一本道。評価値では後手+300だが、87の銀は打たされても悔しくはない銀だし、64の金が中途半端なので居飛車も自信があったのだろう。

ここで居飛車の捌き方には2通りあり、一つは本譜の▲44角△同角▲同飛。もう一つは▲33飛成△同桂▲44角として、△29飛成にいきなり▲71角成と切る方法。後者は乱暴なようだが、相穴熊で先に相手を薄くのは大きく、受けに飛車を使わせるような展開になれば攻めが成功することが多い。本局では無理そうだが、覚えておいて損はない進め方である。

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先手の飛車は41に成ってもカラ成りなのに対し、後手の飛車はダイレクトに桂馬を拾える形。そして桂馬は75に使い道がある。ということで少し有利だとは思うのだが、ここで単に△29飛成とするか、△55角▲41飛成の交換を入れるか、相当悩んだ。

コンピュータに尋ねてみたところ、最善は単に△29飛成で、以下▲41飛成に△26角!と打ち、▲73歩には△69銀と攻め合って有利を維持している、というもの。

 

攻めに使う▲55角よりも、▲44角や▲53角を防ぐ△26角のほうが良いということですか。しかし相穴熊の達人でも△26角はなかなか打てないのではないだろうか…

ここで最善手?を逃したのは仕方ないとして、問題は次。

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お互い読み筋通りに進めた図。

ここで私は△78角成▲同金△69金▲21馬△56歩▲同歩△57歩▲88角△58歩成▲77銀△57と と進めた。

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馬筋が▲21馬で逸れるのを待って5筋に歩を垂らすのが苦心の手順で、相穴熊の経験値を発揮したつもりだったが、このやり取りで評価値を500点損した模様。

正解は、感想戦でも真っ先に指摘されたが、△87香と叩きこむ手。

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以下▲同銀△同桂不成▲同金右△同角成▲同金△69金で

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この単純な銀取りが意外なほど受けにくい。▲77銀は△79金でほぼ必至だし、▲77角は△76歩が痛すぎる。コンピュータによれば最善は▲59角?!だそうだが、勿論平凡に△同金でよい。

この展開は、振り飛車側の△64金が大威張りしていて、▲11馬の利きを遮ると同時に、急所の▲74桂打ちも防いでいる。これこそ振り穴の手慣れた指しまわしだった。

勿論この順も読んだのだが、数手前に△75桂を打ったとき、先手はしばらく▲87の銀を逃げなかったので、取ろうと思えばいつでも取れた銀を、わざわざ香車を余計に渡してまで取りに行くのも…と思ってしまったのである。もし△75桂にすぐ▲76銀と逃げられていたら、それほど抵抗なく△87香を打ったと思うので、このあたりが実践心理ならでは、だろうか(単に読みが浅いだけ)。

ただ、この順を逃してもまだ後手の有利は続いていた。△57と 以降は、▲75銀△同金▲87馬 と進んだ。ここがまた問題。

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ここで私は守りの要である底歩を攻めるために△68銀と打ったが、▲76香と攻防の金を逆に攻められ、△同金▲同銀△79金▲同金△同銀成▲同角△同竜▲88銀△68と▲79銀△同と▲88金 となってみると形勢急接近。相手の方も感想戦で「ここまで来て難しくなったと思った」とのこと。

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なぜこんなに混戦になってしまったかというと…

△68銀を打った場面まで戻って、正解は△76歩と、68に利いている▲77銀を歩で攻める手。

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以下▲同銀なら△同金▲同馬△68と で、68を守る銀をゼロ手で消しているぶん、本譜の攻めよりだいぶ得である。だいたい△68銀なんて言う手は、駒がダブっている上に渡す駒も多く、筋が悪いのである。「寄せは俗手で」という格言もあるにはあるが、結局は読みで判断しなければならない。

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さて、本譜の▲88金までの局面。ここで、それこそ「穴熊党なら逃さない」という攻防手があるのだが…

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正解は「△72香」。76の銀取りかつ、後手の穴熊の急所である「▲74桂」を防いでいる。△72香に▲74歩なら、そこで△77歩とか、△89と▲同玉△64桂とか、攻めに転じれば、まだ優勢を維持できていた。

実戦でも△72香は考えたのだが、▲54桂を打たれたときに△73銀と逃げられない(香車が陰になる)ことが気になってやめた。しかし、銀を逃げなくても△76香からはっきり攻め合い勝ちである。

実は大会前日の御徒町将棋センターにおける練習対局では、振り穴を指すときに「自分の第一感よりも、一手先に受けてみる」という調整方法を試したところ、相穴熊で3連勝することができたので、本番でも先受けは意識していたのだが、まだ本当に自分の血肉にはなっていないようだった。

しかし、普通の感覚なら、相手が桂馬を2枚持ってお替りできる形なんだから、とりあえず74を受けようとしますよねえ。

本譜はここから書く気にもならないような重い攻めをしてしまい、▲74桂が2度に渡り刺さって攻め合い負け。チームも2-3負け。悔しい負け方だった。

それでも優しい甲府グルメ

敗戦譜を解説するのは悔しいので、一局紹介するごとに、私が今回の遠征で食べた絶品グルメをひとつずつ紹介します。

まずは甲府駅の改札を出たところで売っている桔梗屋さんの信玄餅ソフト。

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トッピングのきな粉棒の程よいカサカサ感がね、黒蜜がかかったバニラアイスと一緒に食べることでしっとりしてね、また最高なんですよ。

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