アガイ研ブログ

Agai(堕武者+ultraviolence+)の個人ブログです。主に将棋、音楽、プロレス、レトロゲームについて書きます。将棋界では練習対局のために集まることを「〇〇研」と称することが多いことから、タイトルに名付けました。

アクア将棋大会に出場しました(前編)

今更ながら、先月開催した「ハードコア将棋教室」にご来場いただいた皆様誠にありがとうございました。本来であれば早急に報告記事を書くべきところですが、後伸ばしが続いて申し訳ありません。そんな中、昨日将棋大会に出場してきたので「仕事が溜まっているときは、新しいものから手をつける」の法則に従ってレポートしたいと思います。

出場したのは「アクア将棋大会」です。ローカル大会ながら170人が参加し、内房の数々の自治体から後援を受け、市の教育長や県・市議会議員が列席し、プロ棋士は島九段と真田八段が招待されるという、なかなか盛大な大会でした。

開会時の挨拶も盛りだくさんだったほか、国家独唱に和太鼓の演奏などもあり、セレモニーの豪華さでは職団戦のはるか上を行っていました。

それはさておき、私がエントリーしたのは「一般の部、Aクラス」です。

運営ルールは独特で、まず参加者を6人の4ブロックに分け、総当たりリーグ戦を戦います。次に各リーグの1位となった4人で決勝トーナメントを行い、優勝者から4位までを決めるという方式です。予選をラウンドロビンにするなら2位だけのトーナメントや3位だけのトーナメントをやってもいい気もしますが、それだとプロ棋士との指導対局へ廻る層がいなくなるということでしょうか。いずれにせよ、予選でとりあえず5局指せるというのは良心的ですね。

さて、予選ではご高齢の方と対戦することが多かったです。自分も決して若くはない年齢ですが、それでもシニア層との対戦で20分切れ負けルールであれば体力勝ちできるだろう―と、タカをくくった訳ではないですが、自分が有利だと信じて(これは大事)臨みました。しかし甘い目論見は早々に砕かれます。皆さん早見え早指しで筋が良く、守勢に追い込まれることもしばしば。

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例えば図は初戦の中盤、△3五歩と突かれた手(▲同歩は△7九角~△3五角成)に▲7五歩と桂頭を攻めたところ。△8四飛の一手だと思っていたのですが、軽く△6六歩!と突き出されて動揺。▲同飛は△6五桂▲7六金△8八角▲6九飛△9九角成であまり自信がないので、▲7四歩△6五桂▲7六金と辛抱し、△6七角に▲9八角と、この端角に本局の命運を託しました。

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最終的には角と金の力で相手の攻撃陣を抑え込んで勝つことができたものの、時計では最後まで負けていたこともあり、全然楽な将棋ではありませんでした。

対局後には「この大会は初めてかい?頑張ってよ」と声をかけていただき、私もいつか爽やかな将棋愛好家のシニアになりたいと思いました。

(蛇足ですが、いま見ると△6六歩には▲同飛と取って△9九角成まで進め、以下▲6五金△6一香▲6四歩で、3筋のキズもあって先手が指せるような気がしますが、相手の読み筋どおりな気がしてあまり深く考えませんでした)

 

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予選で致命傷になりかかったうっかりはこちら。

6四の銀には桂頭を守る意味もあるので、△5五歩は突きにくい(突くなら△5一飛と廻ってから)だと思っていました。

しかし読み直してみると、▲5五同歩△同銀に▲7五歩は△4五歩で、攻めている場所が違い過ぎて、とても▲7四歩~▲7三歩成は間に合いません。

そこで▲7五歩△同歩▲5五歩を考えましたが、△8四飛▲5六銀△7四飛と好形に組まれ、こちらは反発力の無い形をしているので(まさか▲7二歩は間に合わない)自信がなく、歩交換は甘受するつもりで▲5五同歩と取りました。ところがそこで先に△4五歩と突かれ、事の重大さを認識。▲6八角と▲3五歩の組み合わせで受かるつもりが、具体的に納まる手順が全然分かりません。

結局▲4五同歩△5五銀▲3七角△5一飛▲5六歩△4六歩となって

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▲同銀は△5六銀、▲同金は△同銀▲同角△同角▲同銀△5六飛、▲4八金引は△5六銀▲4六銀△2五桂で潰れています。

本譜は▲同銀に△同銀?だったので、▲同角△同角▲同金で息を吹き返しましたが、反省点の多い将棋でした。

いま考えると、△4五歩にはまだしも▲3五歩と突いて、△4六歩▲同銀△4五歩▲5七銀△3五角に▲3八飛と転回するのでしたか。

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こういう中盤をもっと上手く指しこなせるようになりたいですね。

 

なんやかんやで予選決勝まで来たのですが、この将棋が反省度合いとしては最も大きい一局でした。

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中飛車穴熊vs石田流の中盤戦。ここから▲4二歩△4四飛▲同飛△同銀▲4一歩成△7九角成▲同銀△6九飛 と一気に終盤戦へ。

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穴熊はバラバラですが、ここさえ凌げば▲4二と から金を取って埋めることができることと、4八の金は▲4九歩と「金底の歩」を打てば防波堤となるので、まだ守備力を回復させることは可能であり形勢はまだ難しいと思っていました。

7九の銀取りの受け方はいくつかあるところですが、ソフトによると最善は▲4九飛と打ち、△6七歩成に▲5三歩!△6二金寄▲4二と で先手やや有利とのこと。

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自陣飛車を打って受けに廻ったと思いきや次の銀取りは(例えば▲7七銀などと)受けず、と金を引けば取れる金をわざわざ逃がして銀を取りにいくとは… 私にはとても指せません。龍に桂香を拾わせなければ相手の攻めは遅く、こちらは2枚目のと金を間に合わせるという大局観なんですね。

実戦は▲8八角と受けましたが、△2九飛成▲4二とに△9五桂が好手で

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▲7七飛と受ける一手となり、以下△1九龍▲5二と△同銀▲7八金△8四香▲9六歩と進みました。

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形勢としてはこちらが悪いのですが、角を犠牲に桂香を持ち駒に加え、▲7五歩~▲7四歩のコビン攻めを楽しみにする方針です。

本譜はその狙いが実現して逆転したのですが、最終盤で酷い手を連発してしまいました。

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いま、先手が▲8五桂と打ったところ。

この時点で持ち時間は▲3分vs△20秒。(アナログなので大体)

先日ハードコア将棋教室で解説した「手数計算」の考え方を用いると

後手玉…すぐは詰まないが、次に▲6四銀と打てば詰めろ(2手スキ)

先手玉…すぐは詰まない。有効な詰めろが来なければ「2手スキ」の状態なので、先手が勝つ。

ということで、自玉への詰めろは何が来るのか読んでいたら△7六桂!?という鬼手が飛んできました。

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貴重な持ち時間から1分を使い、まず逃げる手はダメそう、取ると△4八龍から△8七金を狙っていることを認識しました。そこで▲同飛△4八龍のときに、

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龍を取らずに▲7八香が「王手逃れの詰めろ」で速度逆転!ワナを見破った!と考えたのですが、これが勝手読みもいいところでした。

(1)△4八龍には同歩で、△8七金は▲7九玉で詰まない(飛車が利いている)。以下△5八角成と詰めろを続けるしかないが、飛車と桂馬を貰ったので▲7三桂成で詰み。

(2)そもそも桂馬を1枚貰った時点で後手玉が詰めろになっているので、仮に△4八龍を取らないにしても▲7八歩でよい。

読み筋も指しても全てが間違っているのですが、まだこの時点では勝ちが残っていました。更に重大な過ちは、ここから数手進んだ下図のときです。

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この局面、私はノータイムで▲7七玉と逃げました。これで王手はないと思っていたのですが、以下△7六香!▲同玉△8七角!

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▲7七玉△7八角成▲7六玉△8七馬 まで、渡した香車が活躍しての超絶大頓死です。

△7六香を打たれた瞬間目の前が真っ暗になりました。しかし切れ負けなので最後の一手まで指し続けたところ、△7八角成のところで後手の時計の針が落ち、先手の時間切れ勝ちとなりました。

切れ負け将棋においては持ち時間も形勢のうちであり、相手より時間を多く残すことを意識して指していた結果でもあるので、切れ勝ちは一応意識していました。完全に詰まされた状態だと、時間切れを指摘しても「どの段階で針が落ちたか」がハッキリせず運営の裁定に委ねられる可能性があるので「指摘するなら1手でも早く」と、今更ながら気持ちを切り替えて時計を注視することになりましたが、せっかく勝ち切れる状態になった将棋を悪手連発で自ら壊し、最後はルールにすがって命拾いをする自分には嫌気がさしました。

ちなみに、詰まされるならまだしも△8八金を▲同玉と取ったほうが良かったです。以下△6八飛成▲7八銀に△7九角では詰まず、△8七香▲同玉△7六角から25手詰となりますが、この方が相手の時間をより消費させられましたし、秒読み将棋だとしても正しい負け方だったと思います。

 そもそも、△8八金のところで気付いた方も多いと思いますが、▲6九玉と引けば全く詰み筋がなく、堂々と勝つことができていました。

もし自分が詰ます側だったら、引かれて詰まないことは読めたと思うのですが…

自玉に王手が掛かると途端に指し手が乱れるのは、中学生の頃から変わっていません。

30代も後半に差し掛かった自分が今から弱点を克服できるかは分かりませんが、凌ぎの問題集を解くなどして地道に練習をしていきたいと思います。

長くなってきましたので今日はここまでに。準決勝と決勝の将棋は次回書きます。