アガイ研ブログ

Agai(堕武者+ultraviolence+)の個人ブログです。主に将棋、音楽、プロレス、レトロゲームについて書きます。将棋界では練習対局のために集まることを「〇〇研」と称することが多いことから、タイトルに名付けました。

ADHDが札幌へDJしに一人で旅行してみた【セットリスト振り返り編】

気付けば本番から3ヵ月経過

早いもので、あの激動の3泊4日から100日以上が経過しようとしています。最初は怒涛の勢いで連日5,000字を超える投稿を続けてきた本ブログですが、油断するとこのような間隔が空いてしまうのも、非常に私らしいと言えます。言い訳としては、7月下旬はちょうど東方糖尿闘病奇譚の執筆を始めた時期と符合するといえばするのですが……

それはともかく、予告をしたからには、セットリストを振り返ってみましょう。もはや直接現場でご覧いただいた方も記憶は薄れていると思いますが、私自身の次の選曲機械のために、何を考えてどう答えを導き出したのか、思い出しながら書きとどめていきたいと思います。まずはセットリストを再掲。

01.オープニング動画 / 堕武者グラインド / 2022
02.奇稲田姫 / UNDEAD CORPORATION / 2011
03.Obstruction! Color It All Out / Foreground Eclipse / 2011
04.MC1        -
05.天狗が見ている / C.S.C→luv / 2009
06.Rave On / Unlucky Morpheus / 2011
07.Ghost Boogie Night / Driving Kitchen    / 2012
08.イブキイズム    / 鉄腕トカゲ探知機 / 2010
09.冷風、鋭くなって / acrophobia / 2010
10.Idiot No.⑨ / 夢幻燈    / 2011
11.Take Your Life / S09M / 2010
12.焦燥ジェノサイド / 死際サテライト / 2011
13.Nightmare that continues through all eternity / Santa Massacre / 2011
14.Basement Room Orgy / Positive Suicide / 2012
15.陵辱の紅月 / Mods Crisis∞ / 2011
16.永遠の刻 / FullMoon.13 / 2010
17.Ring Of Faith / Further Ahead of Warp / 2012
18.Ugly Strange A Neighbor / Bogbugs / 2010
19.Cluster Amaryllises Wither All Together / Bogbugs / 2010
20.MC2        -
21.SINK    / 堕武者グラインド / 2009

01.オープニング動画 / 堕武者グラインド / 2022

ライブでも演劇でも何でもそうですが、掴みはとにかく大切です。「面白いのかな?楽しめるのかな?」という観客の期待と不安が交錯する中で、最初に信頼を勝ち取れるかどうかの重要な場面です。

結論からいうと、掴み自体は成功でした。その後の操作ミスさえなければ……というのは前の記事でも書いたので、ここではオープニング動画の制作過程を。

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私がライブイベントに出演するたびに常に意識しているのは、「そのイベントに来たお客さんのために呼びかける」ことです。外タレがライブで「サンキュートーキョー!」と儀礼的に叫んだりしますが、あれをもっと、場所に対して、人に対してフォーカスして行うことで、「この日のために準備してきたんですよ」という信頼を得ようとするわけです。いい意味での「ご機嫌伺い」ですね。

そのためには、会場であるCLUB ANiMAの具体的なロケーションや、出演するDJ陣のお一人お一人についてお名前込みで言及させていただく必要がありました。皆様事前にご快諾をいただき、改めてありがとうございました。実は最初に許諾をいただいた内容から台本を変更し、改めて許諾を取り直させていただくというお手間をお掛けしてしまい、事前の練り込みが足りず申し訳ありませんでした。

その台本ですが、最初は「こんな凄い東方DJメンバーの中にお前が居ることが場違いなんだから、出演はやめておけ」と声優さんに説教される内容でした。しかしインパクトが足りず、札幌すすきのという土地柄も活かせていないと考えたため、札幌すすきの⇒風俗街⇒クラブで咥えられている私 というプロットに落ち着きました。安直ではありますが、やはり下ネタには信頼と実績があります。まして百戦錬磨、これまで何度も堕武者のピンチを救っていただいている「そらまめ。」様のちゅぱ音と演技です。

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冒頭からフロアを大いに沸かせてくれました。今回も本当にありがとうございました。

そこに、堕武者のギター担当、Bossのエレアコによる「不思議なお祓い棒(棒だけに)」が絡みます。今回のための録りおろしです。ありがたいことです。

この形式のオープニング動画は、たぶん今後も採用することでしょう。内心では「早くやれー!」「つまんねーぞ!」という声が起きないかドキドキしつつも、それでも絶対この方式は面白くなるという信念のもと、続けていきたいと思います。

※ここからは、DJの際に使用したパワーポイントのスライドを掲載していきます。1曲につき2枚のスライドを使いましたが、そのうちの1枚目を貼っていきます。各サークル様のCDジャケット画像を使用させていただいていますが、及ばずながら各楽曲の魅力について説明させていただくための処理であり、堕武者Agaiは画像について一切の権利を有しません。
02.奇稲田姫 / UNDEAD CORPORATION / 2011

内容未定ながら、イントロで混沌を生み出す→「アー!」と叫ぶ→この曲の「アー!」に繋げる という構想を一番最初に思いつきました。この曲を発表当時に聴いた際の衝撃たるや凄かったですね。和の要素とエクストリームメタルが完全に融合していて、鬼娘の迫力と妖艶さを併せ持ったランコさんの歌声に圧倒されました。

この和風の曲には和太鼓を合わせなければなるまいと、10年前にM3フリースペースでのパフォーマンス用として購入した締太鼓を北の大地へ持参することを決意。DJスペースを飛び出し、太鼓を肩に担いでステージの端で叩きまくりました(本当はそういう使い方をする鼓ではないのですが)。写真をTwitterに上げていただいた方が複数いらっしゃったので、一応のウケは得られたかなと。

 

03.Obstruction! Color It All Out / Foreground Eclipse / 2011

ふぉあぐらの解散ライブに行けなかったことは今でも残念です。我々は我々で知人の結婚式ライブがあって、そのライブ自体は非常に上手くいったので、後悔などはないのですが…

解散ライブのひとつ前の新宿でのライブ、広いハコのそこかしこでモッシュに次ぐモッシュが巻き起こり、終演後のロッカールームでは幸せな顔をしたまま力尽きたキッズたちが折り重なって倒れていた光景は、今でも目に焼き付いています。

04.MC1        -

鉄板の2曲で盛り上げておいてから、突然のプレゼンテーション開始。この落差こそが生命線です。また、プレゼンテーションで大事なのはテーマを設定することです。指針を示すことで、聴衆の理解が深まります。

05.天狗が見ている / C.S.C→luv / 2009

フロアをクールダウンさせた後、もう一度ビルドアップさせていくのにピッタリなのは、この曲です。丁寧な反復の中から生まれるグルーブ感には、ブンサテへの深いリスペクトと、模倣に留まらない個性を感じさせます。

実はこのサークルの代表のCOx2氏は、初期の堕武者東方アレンジのギターを弾いてくれていた恩人であり、私の大学での音楽サークルの後輩でもあります。現在はオーディオアプリ・プラグイン開発者として活躍されています。

06.Rave On / Unlucky Morpheus / 2011

ヘビーなサウンドでお馴染みの「あんきも」が、その高いミュージシャンシップを活かして作成した、即興性重視のメタリック・ジャズを多数収録したアルバムからの1曲です。グルーブ感繋がりということで採用させていただきました。

07.Ghost Boogie Night / Driving Kitchen    / 2012

個人的に大好きなサークル、Driving Kitchen。ハードな楽曲からご機嫌な本曲まで、非常に幅広いメタルを聴かせてくれます。本曲と次の曲のために、私は北海道遠征の前日に島村楽器でタンバリンを買いました。

08.イブキイズム    / 鉄腕トカゲ探知機 / 2010

東方ロック好きなら誰もが好きといっても過言ではない鉄腕トカゲ探知機。同じアルバムの1曲目もグルービィで非常に素晴らしく、どちらを取るか迷ったのですが、リズムがハネてる繋がりならこちらかなと。踊りたくなりますねえ。

09.冷風、鋭くなって / acrophobia / 2010

ゼロ年代~10年代初頭に流行っていたのが、著名なロックやメタルの楽曲と東方のマッシュアップです。この曲は単なる拝借に留まらず、チルノのキャラクターと原曲の歌詞を組み合わせることで、必然性のある世界観を描いています。ナンバガといえば伝説の札幌ライブですから、この曲を札幌のイベントで掛けられたことは意義深かった…ということには、後から指摘をいただいて気付きました。惜しい!

10.Idiot No.⑨ / 夢幻燈    / 2011

現在はアパレル系サークルとして幅広いジャンルで活躍するZanさんのサークル。夢幻燈のライブを確か池袋で拝見しましたが、ベース&コーラスのZanさんのマイクが極端に低い位置にあって、腰を落としてグロウルする姿がカッコ良かったです。

11.Take Your Life / S09M / 2010

個人的に大好きなサークル、S09M。アルバム全部持っています。特に活動終了の報告もないまま沈黙に入られてしまいましたが、今でもどこかでギターを弾いておられるのかな…

12.焦燥ジェノサイド / 死際サテライト / 2011

ロック系の現場では誰かが掛けて必ず盛り上がる、死際サテライトとかちかち山。世界的なトレンドを高いアンテナで取り入れながら、ラウドロックの地平を切り開いていく姿勢には頭が下がります。打ち込みドラムながら、冒頭の入りが非常にカッコ良くて、その次の神リフへの導線をスムーズにしていると感じます。

13.Nightmare that continues through all eternity / Santa Massacre / 2011

2010年代前後に流行した、ピコピコ音を加えて多彩な展開を見せるラウドロックを東方と見事に融合させたサークルのひとつ。完成度の高さは同人離れしています。既に活動停止を宣言されていますが、メンバーの皆さんは音楽を続けていらっしゃるのかなあ。14.Basement Room Orgy / Positive Suicide / 2012

堕武者とは2010年にオリジナルのスプリットアルバムを出させていただいたPS。既に解散を宣言されていますが、蔦子氏の卓越した楽曲と英語歌詞のセンスを、令和の時代にもう一度見てみたいです。ライブが本当にカッコいいんですよ。

この曲は「あなたは人間?」「495年間、人間は飲み物の形でしか見たことが無いの」という、お嬢様の呼びかけが非常に印象的な曲で、フロアで掛けるならこのイントロからだなと思いました。
15.陵辱の紅月 / Mods Crisis∞ / 2011

2015年の3月に凄いライブをやって(YouTubeで見られます)、その年の7月に解散を発表したんですよねえ。男女ボーカルの組み合わせの妙味が印象的で、もっと見たいサークルでした。本曲に関しては、次にかける曲が先に決まっていて、その原曲が「Kagome-Kagome」なので、同じ原曲でつなげられる曲を探していて、この曲に行きつきました。

16.永遠の刻 / FullMoon.13 / 2010

例大祭SPのライブ、本当に凄かったんですよねえ…何というか、東方好きのオタクの妄想がそのまま三次元化してステージに飛び出してきたような感じで。キャラクターを忠実に再現したコスプレもさることながら、演奏の安定感が素晴らしかったです。確か、今は無き「まんがぱれっと」の裏表紙に全面広告を(オリジナルアルバムの広告でしたが)出していたんですよね。

一回恵比寿にワンマンライブを観にいったら、熱心なファン同士が最前列センターの位置取りを巡って殴り合いを始めて驚きましたね。二人が掴み合った瞬間、一方がもう一方の眼鏡に手を掛け遠くに投げ飛ばしたのを見て、ケンカ慣れしているというか、小学生のケンカみたいだなというか… ちなみにスタッフが介入することも、会場から連れ出されることも特になく、いざライブが始まれば二人とも楽しまれている様子でした。

17.Ring Of Faith / Further Ahead of Warp / 2012

活動を始めて間もないsennzaiさんが歌われている曲。本当にスケールの大きさを感じる楽曲です。この曲を掛けたい、と思いついた際に、同時に思い立ったのが、次の曲とのマッシュアップ(というか、バトル)だったのですが…フロアの反応は一様に困惑した様子でしたね。これなら別々に掛けたほうがよかったです。ネタを思いついても面白いのは自分だけ、というパターンですね。やってみないと分からない事ではありますが、両楽曲には申し訳なかったと思います。

18.Ugly Strange A Neighbor / Bogbugs / 2010

19.Cluster Amaryllises Wither All Together / Bogbugs / 2010

ワンマン・ドラム打ち込みゴアグラインドとしては、むしろ正統派スタイルのモコモコボコボコサウンドで、これもクラブで流したかった傑作アルバムです。sennzaiさんの美麗な歌声と、ピッチシフター全開のゴポゴポボーカルを交互に聴かせたら面白い!と、練習の段階では思ったんですよねえ…

確かサークル主の方は制作時学生だったと思うのですが、今も音楽を続けてくれているのかなあ。

20.MC2

前半で音を止めるトラブルがあったこともあって、途中の楽曲のつなぎを早め早めで回したところ、何とか持ち時間45分のうち、40分でラスト1曲まで来ることができました。これはリカバリーとしては良い判断だったと思います。

わらびさんから「大丈夫ですか?」とお気遣いをいただきつつ、最後の1曲はこれをやりたい、と早くから決めていた我々の楽曲でした。       -
21.SINK    / 堕武者グラインド / 2009

この曲、ただでさえマイナーな堕武者の楽曲の中でも、さらに知られていない曲だと思うのですが、東方アレンジ活動前期(2007~2012)の楽曲の中では一番好きな曲です。

当時エモ・スクリーモというジャンルが流行っていたので、じゃあ堕武者もそのジャンルに乗っかればモテんじゃね?という安直な発想で作られましたが、映画「タイタニック」やゲーム「セプテントリオン」をモチーフにした沈没船の数え歌が個人的に気に入っています。キムのアカペラから始まるのが、我ながらいいんですよね。数え歌になっている歌詞は会心の作ではありますが、実はレコーディング当日まで内容が全く決まっていなくて、ヤバイヤバイと思いながら、スタジオノア渋谷店へ歩く道すがら、突然頭の中に閃いたんですよね。迫りくるタイムリミットと闘いながら、ボーカルブース滞在3時間中に爆速で書き上げた、思い出の歌詞です。

本来はライブで思いっきり叫びたい曲ですが、楽曲としては中々に難解なので、2016年の自主企画の際にも採用は見送ったんですよね。なので今回、私のワンマン叫びながら、聴衆の前で披露することができて、本懐を遂げた感じです。

楽曲の解説は以上です。

あ、楽曲同士の並びについて、そこまで触れられなかったな…

本当に選曲には時間がかかりまして、まず第一次候補を集めようと次々にプレイリストに放り込んでいたら50曲を軽く超えてしまい、そこから連日DAWに楽曲を並べては(自宅にDJ環境がないので)ああでもないこうでもないと弄っていましたね。場所は自宅のこともあり、秋葉原コワーキングスペースのこともありました。楽曲紹介は喫茶店で作っていた時間が長かった気がします。

今思うと仕込みに大変な時間がかかっていましたが、もし次にDJブースに立つ機会をいただけたら、これをまたやるのか… 若干怯む心はありつつも、やはり次はより良いものを見せたい気持ちが強いですね。環境構築ともども頑張ります。

以上、東方鋼鉄狂の振り返りでした。

本当は、翌日Tifaraと札幌ドームにきつねダンスを観にいったとか、その帰りに食べたスープカレーが非常に美味しかったとか、更にその後に行ったバニーガールズバーが非常に楽しかったとか、そういう話も掘り下げたかったのですが、さすがに今の優先順位としては、今後に向けた活動準備に時間を割くべきだと思われるので、この辺で締めさせていただきます。ここまで旅行記を読んでいただいた皆様ありがとうございました。